「若いからなんでもできる」――おばあちゃんの言葉に背中を押されて、私は東京へ向かった
21歳の頃、私は地元の老人ホームで介護の仕事をしていました。
毎日バタバタと忙しく働く中で、90代の認知症のおばあちゃんが、毎日のように、それこそ5分おきに、同じ言葉をかけてくれたんです。
「あんたは若いからなんでもできていいねえ」
最初は何気なく聞き流していました。でも、毎日毎日その言葉を聞いているうちに、少しずつ心の奥に染みこんできて。
「そうか、若いって、なんでもできるってことなんだ」
ふと、そう思えるようになりました。
当時の私は、「海が好き」というシンプルな理由で、沖縄への移住に憧れていました。でも季節は秋。「この時期って、仕事あるのかな……」と急に不安になってしまって(今思えば、そんなことなかったんですけどね・笑)、その夢はそっと胸の中にしまいました。
そんなある日、友達と電話をしていたら、
「最近、シェアハウスって流行ってるらしいよ」
と教えてもらったんです。
気になって調べてみると、東京にはおしゃれでかわいいシェアハウスがたくさん! 写真を見た瞬間、心がときめきました。
「ここに住みたい!」
それが、上京を決めた一番のきっかけです。
特別なスキルがあるわけでもなく、都会に知り合いもいない。持っていたのは、母がくれた10万円と、ほんの少しの貯金だけ。
それでも不思議と、不安よりワクワクのほうが大きかったのを覚えています。
東京の大学に通っていた幼なじみに頼み込んで、最初の1ヶ月だけ居候させてもらい、その後、念願のシェアハウスへ引っ越しました。
今振り返ると、おばあちゃんのあの言葉がなかったら、私は一歩を踏み出せていなかったと思います。きっと今とはまったく別の人生を歩んでいたはずです。
「若いからなんでもできる」
その言葉を信じて、私は小さな町を飛び出しました。
もし今、「やってみたいけど、一歩が踏み出せない」と迷っている人がいたら。きっかけは、意外と身近なところに転がっているのかもしれません。私にとっては、それがおばあちゃんのひと言でした。

