2012年10月、私は生まれて初めて上京しました。住まいはシェアハウス。知り合いも誰もいない東京での生活が始まりました。
でも、仕事の探し方がまったくわからなくて。
何をどうしたらいいのかも見当がつかず、気づけば部屋にこもりきりの毎日でした。
ある日、思い切って買い物に出かけようとしたとき、シェアハウスに併設されていたカフェのお姉さんが声をかけてくれたんです。名前を聞かれて、「お金もないし、まだ働いてないんです」と正直に伝えました。
そうしたらお姉さんが「よかったら、言い値でご飯作ってあげるよ」って言ってくれて。
そこで私が言った金額が、200円。
今考えると、ありえないですよね(笑)。
でもお姉さんは何も言わず、本当にその金額でご飯を出してくれました。思い出すだけで胸がじんとします。
お姉さんは私より5歳年上。
それからずっと私のことを気にかけてくれて、顔を合わせるたびに声をかけてくれました。知らない街で、それがどれだけ心強かったか。
そのカフェで、もう一人大切な出会いがありました。
同じシェアハウスに住んでいた、4歳年上で派遣会社に勤めているお姉さんです。
「まだ何も決まってないなら、派遣で働いてみたら?」
そう言われて、私、真顔で「派遣って何ですか?」って聞いたんです。
そこから丁寧に仕組みを教えてもらいました。今思うとかなりの世間知らずで、恥ずかしい(笑)。
でも、教えてもらってすぐに派遣会社に登録。トントン拍子で仕事が決まりました。
派遣先は携帯ショップ。
ここでの毎日は、正直、楽ではありませんでした。
お客さまからのクレームで怒鳴られることも多くて、悔しくて、情けなくて、何度も泣きました。
訛りや方言を馬鹿にされることもありました。
でも、そんな環境にいたおかげで、気づけば標準語に直っていって、敬語も自然と身についていったんです。
大変だったけど、今の私の土台はここで作られたんだなと思います。
そしてそこにも、親身に面倒を見てくれる6つ上の先輩がいました。
その先輩とは、今でも時々連絡を取り合ったり、相談に乗ってもらったりしています。
もちろん、つらいことばかりではありませんでした。
クレームを言うお客さまがいる一方で、「いつもありがとう」「あなたに対応してもらえてよかった」と優しい言葉をかけてくださるお客さまも、たくさんいたんです。
中にはわざわざお客様センターに電話をしてとても褒めてくださったお客様までいました(笑)
その言葉に、何度救われたかわかりません。
シェアハウスでも同じでした。
一緒に暮らしていたシェアメイトのみんなが、落ち込んで帰ってきた日はそっと話を聞いてくれたり、ご飯に誘ってくれたり。
家に帰れば誰かがいてくれる、それだけで本当にありがたかったです。
クレームがつらくて、「もう辞めたい」「地元に帰りたい」と思ったことは、一度や二度じゃありません。
それでも踏ん張れたのは、東京で出会った人たちが、そのたびに私を支えてくれたから。カフェのお姉さんも、先輩も、優しいお客さまも、シェアメイトのみんなも。
あのとき部屋にこもっていた私が、今こうして振り返れるのは、人に恵まれたおかげだと心から思います。
もし今、新しい場所で不安を抱えている人がいたら。一人で抱え込まなくて大丈夫。
意外なところに、手を差し伸べてくれる人はいるものです。

